ば情報図として整備するなどその内容を充実させること」として、センシティビティ・マツプ整備・普及の必要性が盛り込まれたところである。
現在、0PRC条約の発効に伴い、世界各国ではセンシティビティ・マップ整備・普及のための検討が盛んに進められているところである。
既に当協会は、0PRC条約の発効に先駆け、平成五年度にセンシティビティ・マップに関する基礎調査を実施し、わが国の沿岸域特性を考慮するなど、実情に即した形で早急にその整備・普及を進めていく必要がある旨の提言を行うとともに、マップ作成に関するガイドラインを策定した。また、わが国においてはこのようなセンシティビティ・マップを「沿岸域環境保全リスク情報マップ」と呼ぶこととした。
わが国の沿岸域は、豊富な水産資源および多様な生物相をはじめとする自然環境に恵まれるとともに、多種多様で高度な社会・経済活動が密集そのうえ活発に営まれている。
近年わが国の原油の輸入量は横這い傾向を示しているが、内航タンカーの船型の大型化や海洋性レクリエーション活動の急速な発展などに伴い、流出油事故の際の沿岸域の被害に遭う可能性は依然として高い数値を示している。
さらに近年わが国においては、環境基本法の制定により、健康で恵み豊かな環境の維持および発展に向けての努力が求められている中で、ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約=水鳥湿地保全条約)会議のわが国での開催(平成五年六月)などを通じ、国民の自然環境保全に対する関心は、ますます高まりつつある。
このような状況の中で、海洋環境保全を目的としたセンシティビティ・マップの整備・普及事業を進めていくことは、環境保全を願う国民の声を反映したもので、まさに時宜を得たものであると考えられる。
当協会では、平成五年度の基礎調査結果に基づき、平成七年度に東京湾をケーススタディー(事例研究)の対象として、沿岸域の自然環境および社会的・経済的利用状況に関する情報を集め「東京湾沿岸域環境保全リスク情報マップ」を試作するに至った。
三、セ・マップの歴史
センシティビティ・マップ開発の歴史は、今から約二十年前に北米で行われたカナダ政府による資源センシティビティ・マップ開発プロジェクトに端を発する。
一九七五年カナダ政府は、アラスカ州バルディーズからワシントン州に至る太平洋沿岸海域に、米国によるアラスカ原油輸送のためのオイルタンカールートが開設されることをきっかけとして、環境庁主導による資源センシティビティ・マップ作成プロジェクトを発足させた。
このプロジェクトの目的は、米国のタンカールートとなるブリティッシュコロンビア州沿岸域における流出油事故への対応手段の一つとして、関連情報の正確な収集を事前に行っておくことおよび緊急油流出対応計画の策定に際して必要な資料を提供することにあった。
すなわち、土地利用、海象気象状況、汀線形態、生物相および緊急時の連絡手段などに関する情報を網羅したマップを作成し、油汚染に対する沿岸域の脆弱性などを明確にしておくことは、流出油事故に対処する上での有効な手段の一つであることが、カナダ政府により世界で初めて公式に認められたわけである。
その後、カナダ政府は、袖および化学物質の流出対策の一つとして、センシティビティ・マップの整備・普及事業を、特に流出油事故発生の危険度が高いエリアを対象に展開していった。
米国では一九七六年、サウスカロライナ州の首都コロンビアに本社を持つ民間の研究機関RPI社(Research Planning Institute,Inc.)が、流出油事故の事例分析に関する調査研究を通じて得た「海岸に漂着した油の除去作業の難易度は、その海岸の汀線形態によって大きく影響される」という理論を基に汀線の油に対する脆弱性を相対的にランクづけして地図上に表すという手法を発表した。
RPI社は、さらに同じ地図上

 

 

 

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